マダム・ピエール・オジェのクロロシス対策

毎年のことではあるのですが、マダム・ピエール・オジェの葉にクロロシスの症状が出ていました。マダム・ピエール・オジェの葉の色は元々薄い緑なのですが、葉脈以外の部分の色が抜けたようなひときわ薄い黄緑色になり、レントゲン写真のような、というかショッカー(わかるかな?)のような感じになっています。

クロロシスの症状が出たマダムピエールオジェの葉

クロロシスの症状が出たマダムピエールオジェの葉

クロロシスとは

7月の初めに水やりをしていて気が付いたのですが、マダム・ピエール・オジェの葉の色がとても薄くなり葉脈だけが濃い緑になっていました。毎年お目にかかるのですが特に何もすることも無く放置していました。今年はクロロシスの症状の出ている葉がつもより多いと感じたので、調べてみました。

クロロシスが起こる原因

クロロシスというのは葉の中の葉緑素(クロロフィル)濃度が不足しているために色が薄くなっているのです。その原因としては
・ミネラルの不足
・用土がアルカリに傾いている
・根の障害
などが考えられます。

クロロシスの症状が出たマダムピエールオジェの葉の拡大写真

クロロシスの症状が出ると葉の葉脈以外の色が薄くなります

ミネラル不足

特にマグネシウムが不足することで光合成に必要な葉緑素(クロロフィル)が少なくなり、葉の色が薄くなります。

用土がアルカリに傾いている

用土がアルカリに傾くと、用土中のミネラルなどが不溶化し根から吸収できなくなります。

根の障害

植え替えの時に根を触って痛めてしまったとか、根詰まりが考えられます。また根の量に対して鉢が大きすぎると水分が多過ぎ根が吸収し切れずに常に根が水に浸っている状態になり栄養素を十分に吸収できない状態になっていることが考えられます。

クロロシスを放置するとどうなるのか

クロロシスを放置しておくと症状の出た古い葉が黄色くなりやがて枯れて葉を落としてしまいます。葉が減ると言う事はバラが光合成をする量も減るわけです。光合成の量が減れば光合成によって生成するでんぷんの量が減るわけですから、バラ自体も元気がなくなり病気や害虫から受けるダメージも大きくなり弱いバラになってしまいます。

我が家のマダム・ピエール・オジェの場合、毎年クロロシスの症状が出ますが放置していました。ま、それでも丸坊主になることもありません。気が付けばクロロシスの症状がおさまっていたのですが、よく考えたらクロロシスの症状の出た葉が落ちてしまっていたので完治したと思っていたのかもしれません。そう言えば毎年秋になると「今年のマダム・ピエール・オジェはイマイチだったな」といつも思っていました。イマイチなのはクロロシスで元気がなくなっていたからかもしれません。

クロロシス対策

ではクロロシスの症状が出た場合どうすれば良いのか。クロロシスの原因を特定するのは非常に難しいのですが、根の障害については皆さん心当たりがあると思います。根詰まりの場合はすぐにでも鉢増しすればよいのです。そもそも根に障害があればクロロシスの症状が出る前に成長不良になると思いますし、根腐れっぽければ常に鉢土が湿った状態になりますから気がつくと思います。

鉢土がアルカリ性に傾いているかどうか。基本的に日本で降る雨も酸性雨ですし、家で育てているバラを同じ用土で育てている場合、一つのバラの鉢土だけがアルカリ性に傾くのは不自然です。アルカリ性に傾いているか調べるには土壌のPHを調べます。そして用土がアルカリ性に傾いているようであれば苦土石灰ピートモスを利用してPH値を下げます。(2019.5.7修正)

しかし一番疑わしいのは、鉢植えであるがゆえに毎日の水やりでマグネシウムが流出し、追肥する肥料に十分なマグネシウムが入っていないことでマグネシウムが不足してしまっていると言う事です。やはり鉢植えの場合ですと水やりすれば栄養分やミネラルは鉢からどんどん流れ出てしまいます。特に気温が高くなれば日中30℃を超えますから毎日タップリと水やりをします。場合によっては朝晩2回水やりをする方もいらっしゃるでしょう。

そしてクロロシスの症状が出た場合、苦土石灰を与えてマグネシウムを補う方法があります。苦土石灰はホームセンターでも販売されているので手に入れやすいと思います。苦土とはマグネシウムの事であり、石灰とはカルシウムの事です。苦土石灰でマグネシウムを補うことが出来るのですが、カルシウムが入っているので与えすぎると用土がアルカリ性に傾いていきますので注意して下さい。(2019.5.7加筆)

クロロシスの場合、マグネシウム以外に鉄などの微量要素が欠乏して発症している場合もありますので、マグネシウムが多く含まれていてなおかつ他の要素も入っている微量要素肥料を与えるのが良いと思います。そこで有効なのがハイグリーンと言う肥料です。

ハイグリーンとは

ハイグリーンとは水溶性のマグネシウムが14%と多く入っている微量要素肥料で、マグネシウム以外には鉄、ホウ素、銅、亜鉛、モリブデン、コバルト、コロイドケイ酸が含まれています。このハイグリーンはクロロシス対策としてミネラル補給に最適なのですが、クロロシス対策以外にもバラにハイグリーンを与えることによって、枝数や花数が増え色鮮やかになるようです。

ハイグリーンを購入する

このハイグリーンですが、その辺のホームセンターなどでは売っていません。肥料を扱う会社で取り扱っているのですが、20kgの大きな袋単位なのでそこまでは必要ないかなと。あちこちさがしていたところ、イタミローズガーデンさんが親切に小分けして販売してくれていました。大袋の20kgはもちろんありますが、それ以外に1kgと5kgに小分けしたものを販売しています。今回はお試しと言う事でイタミローズガーデンさんで1kgの物を購入しました。クロロシス対策以外にも効果が有るようですので、追肥する時に合わせて与えてみようと思っています。効果が有れば来年5kgを購入するつもりです。

ハイグリーン 1kg 商品詳細|バラ苗専門店|イタミ・ローズ・ガーデン
イタミ・ローズ・ガーデンでは、バラ苗鉢植と、バラづくりに必要な資材を販売しております。イングリッシュローズや珍しい品種のバラを多数取り扱っております。ご自宅の庭を素敵なローズガーデンにしてみませんか? 水溶性の苦土、マンガン、ホウ素、鉄、銅、亜鉛モリブデン等の微量要素を含む粒状肥料です。 元肥または追肥で施してください...

ハイグリーンを与える

さて我が家に届いたハイグリーン。与える量ですが、普段与えている肥料にどれだけマグネシウムが含まれているのかによるので特にに決まりはありません。親切にもイタミローズガーデンさんは普段与える肥料の10%を目安で良いのではということでしたので、早速計算して与えてみました。この量を毎月追肥する時に一緒に与えます。

ハイグリーンの効果

ハイグリーンを与えて1ヶ月経ちました。マダム・ピエール・オジェの葉を見てみると、葉の色が少し濃くなっていました。クロロシスの症状が出ていなかった葉も少し色が濃くなったようで全体的に色が濃くなったようです。やはりマグネシウムが不足していたのがクロロシスの原因だったようです。

回復したマダムピエールオジェの葉

ハイグリーンを与えたら葉の色が濃くなってきた

これから秋になり涼しくなってきますので、バラもまた伸びてくると思います。ハイグリーンを与えたことでこれからの成長がどれだけ例年と違うのかとても楽しみです。

コメント

  1. Roser より:

    マダム・ピエール・オジェは素敵なバラですね。 マグネシウム=苦土
    ホームセンターなどで入手しやすい、苦土石灰でも十分対応可能という情報も載せてあったほうが親切なのかなと思います。

    • Sicilian Blue より:

      Roser様、コメントありがとうございます。確かにマグネシウム補給は苦土石灰を与えることがポピュラーですね。私は欲張って他の微量要素もと思っており苦土石灰の事は触れませんでした。今回ご指摘いただき再度色々と確認し苦土石灰を加えると同時に、私の思い違いもありましたので、あわせて訂正いたしました。ご指摘ありがとうございました。

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