鉢バラは毎年植え替えないといけないのか

前回の記事で我が家のラ・ローズ・ドゥ・モリナールの不調の原因が植え替えではないかと書きました。昨年は5月から11月まで毎月開花してたくさんの花を咲かせてくれたのですが、3年も植え替えをしていなかったので今年の初めに植え替えて用土を更新したら絶不調になったのです。そこで今回は鉢バラの植え替えについて考えてみたいと思います。

鉢バラの植え替えの必要性を考える

皆さんは毎年鉢バラの植え替えをしていますか?それとも数年おきですか?どうして毎年なのですか?どうして数年おきなのですか?

皆さんもそうだと思いますが、私はバラ栽培を始めるにあたり本を買って基本的な事を学びました。そこには植え替えは毎年行うと書いてあり、何も知らないからこそ本に書いてあることに何の疑いも持たずに忠実に従っていました。しかし考えてみれば何故毎年植え替えなければならないのでしょうか。

鉢バラを植え替える理由

本などには鉢バラを植え替える理由として

  1. バラが用土の栄養を食べ尽くし用土に栄養が無くなっているから
  2. 用土が固まり通気性、水はけが悪くなっているから
  3. 根が伸びて根詰まりしているかもしれないから
  4. 根腐れしているかもしれないから
  5. ネキリムシに根が食べられているかもしれないから
  6. 根頭癌腫病に侵されているかもしれないから

などと書いてあります。どれももっともな理由ですが、本当に毎年植え替えないといけないのでしょうか。

鉢バラを植え替えるということ

鉢バラを植え替えると言う事は、土に張り巡らされた根を用土から強制的に剥がしてしまうと言う事です。当然細い根は切れてしまい、バラと用土の今までの関係を断ち切ってしまう行為です。バラは水分や栄養を根から吸い上げますし、生命活動である光合成をするのにも根がきちんと張っていないと十分に水分を吸い上げることが出来ません。植え替えをすると言う事はそんな重要な働きをしている根を引っ剥がしてしまうのです。以前、何かの本で読んだのですが、植物にとって植え替えをすると言う事は、人間で言うならば手術をするのと同じ位負担のかかることなのだそうです。だとしたら、そんなことを毎年して良いのかと思っていました。人間だって手術と言うのは体に負担のかかることですから、高齢であったり体力的に落ちている場合には手術が出来ないことがあります。

過去の記録を調べてみる

そんなことをずっと思いながらバラ栽培も10年になり経験も積んできました。いや、そんな大した経験ではないのですが、バラ栽培を始めた頃は本に書いてある通り毎年植え替えをしていました。何も経験がないですから毎年植え替えをしないと花が咲かなくなる、みたいな緊張感がありました。しかし次第にバラ栽培に慣れてくるとそんな緊張感も無くなります。忙しかったり体調不良だったりしてタイミングを逃しても「ま、いいか」と植え替えをしない年も出てきます。そういった経験が10年分蓄積されただけなのですが、振り返ってみるとどうだったのか。

植え替えた年は花数が少ない

2012年からはバラの成長記録などをスマホのEVERNOTEというアプリで記録しています。毎年品種ごとのノートを作り、そこに日付と写真を入れて成長を記録しています。思い込みと言うこともあるので、あやふやな記憶を裏付けるためにその記録も確認してみました。そして分かった事は

  • 植え替えた年は花数が少ない

と言う事です。植え替えなくても花数が少ない場合もありますし、前年花数が少なかったので植え替えたら花数が増えたこともあります。しかし特に問題もない鉢バラを植え替えた年は花数が少なくなっています。やっぱり、って感じです。もちろん水やりや与える肥料の量なども関係あるとは思いますが、我が家では大体の傾向としてはそんな感じです。

1年で用土の栄養はなくならない

そう考えると①の培養土の栄養が無くなるというのはどうなのでしょう。土の栄養がなくなるとしても1年ではなくならないと言う事だと思います。現に我が家のラ・ローズ・ドゥ・モリナールも今回4年ぶりの植え替えでしたし、昨年は我が家のMVPになるほどの花付きと連続開花性でしたから、1~2年で用土の栄養が無くなるという事でもないと思います。もっと言えば今年新しい栄養豊富な用土に植え替えたわけですし。

良質の用土なら毎年植え替えない

そして私なりの結論としては、基本的に毎年植え替えなくても良いのではないかと思います。バラが植え替えてくれと言ったら植え替えれば良いと思います。

問題が無ければリスクは負わない

上の②~⑥についてはそこまで心配してやらなくても良いのではないかと思います。翌年も綺麗な花を沢山咲かせたいという気持ちもわかりますが、何の問題もなく一年を通して開花していたならば、わざわざバラに負担をかけるようなリスクを負ってまで植え替えて確認する必要はないと思うのです。自然の物を相手にしているのですから、いくら人間が手をかけてもその通りになるとも限りません。

栄養に関して心配があるようであれば春先に堆肥を用土にすきこむなどして微生物が活動しやすいようにして年間を通して計画的に追肥すればよいと思います。

重要なのは日々の観察

そしてバラ自身が出すサインを見逃さないことが重要です。水やりなどの時にしっかりと観察し常にバラの変化を見る必要があります。少しの変化を見逃さず、ちょっと元気が無いようなら注意して見続ける必要があります。

  • 根詰まりすれば元気がなくなり水の抜けが悪くなる
  • 根腐れすれば元気がなくなり土の乾きが悪くなる
  • ネキリムシに根を食べられれば成長が止まり水をたっぷり与えると出てくる
  • 根頭癌腫病にかかれば成長が鈍る

といったバラ自身が出すサインを見つけてから対処しても良いと思います。根詰まりしたら鉢増しをすれば良いですし、根腐れやネキリムシは問題が深刻ですから時期も関係なく根鉢を崩して植え替えれば良いのです。一度鉢から抜いてみれば土の状態や根の張り具合などがわかりますから、それを見てから植え替えするかどうか考えれば良いと思います。

良質な培養土を使用する

そして大前提となるのは良質の培養土を使用するという事です。良質の培養土を使用すれば、メインの赤玉土は壊れにくいですし数年使用することが出来ますが、質の悪い培養土を使用すれば1年で赤玉土が壊れ土が固まってしまい毎年植え替えなければならなくなります。

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植え替えるなら休眠前に

それでも1年を通して元気がなく植え替えをするならば、11月頃の植え替えをおすすめします。「まだ休眠してないよ」と言われると思いますが、早めに植え替えてしっかり根付いてから休眠させるのです。根付いた状態で休眠から覚めればすぐにバラも成長をスタートできるのですが、休眠中に植え替えをすると休眠が覚めた時点でまだ十分に根が張っていないと思いますので、最初に十分に根を張ることに時間がかかってしまいます。そしてこの時は植え替えだけにして剪定はしません。剪定してしまうと芽が動いてしまいますので剪定は年が明けてから休眠中の間にします。

これは昨秋我が家にクレマチスを迎えた時に、クレマチスのナーセリーさんにすすめられたことでした。そして同じようなことはあの有島薫さんも仰っていますし、有島さんは10月の終わりごろに植え替えをしているそうです。

どうしてもバラには愛情を注いであれこれ手をかけてしまいます。しかしよく観察してバラの声を聴き、対話し、サインを出したら対処してあげるという方法でも良いのではないでしょうか。うまくいっている物をわざわざいじる必要はないと思います。

そんな訳で今年の初めに植え替えたバラは基本的に植え替えないつもりです。その時に植え替えなかったバラで調子の悪いバラがあったら11月に植え替えようと思っています。

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