今の時期、毎週日曜日にたっぷりと水やりをして、次の日曜日にまた水やりをするというサイクルでやっていました。幸いにもまだ水切れを起こしたことはかったのですが、最近、急に暑くなってきたので、これからはもっとこまめに水やりをしないといけません。
ベーサルシュート発見!!
そんな事を考えながらバラの水やりをしていた時に、ピエール・ドゥ・ロンサールの株元から10センチほどのベーサルシュートが出ているのを発見しました。「やった、ついにピエール・ドゥ・ロンサールのベーサル・シュートが出たぞ!」と喜びました。とにかくここ数年ベーサルシュートが発生していないおじいさん状態のピエール・ドゥ・ロンサール。主枝の更新が出来ずに毎年花数が減っていくのを見ているしかありませんでした。「ベーサルシュートよ出てくれ」と強く願い続けていました。ついにこの願いが通じたのです(涙)。
ちょっとした違和感
そして浮かれ気分で全てのバラや植物に水やりをしてから、ゆっくりとピエール・ドゥ・ロンサールのベイサルシュートを眺めました。「…え? 何これ?」ちょっとした違和感を覚えました。よーくよーく見てみると、何やら微妙に違います。
- 葉の形がおかしくないか?
- 葉の色がおかしくないか?
- 出ているところがおかしくないか?
…。
1.葉の形がおかしくないか?
まだ完全に開いたわけではないのですが、この葉はなにやらシュッとしています。ピエール・ドゥ・ロンサールの葉は、もうちょっと丸かったような気がします。
2.葉の色がおかしくないか?
ピエール・ドゥ・ロンサールの葉は濃いグリーンです。椿や山茶花と同じくらいの濃い色合いです。そして出てくる葉も濃い緑で葉先が赤味を帯びています。でもこの葉は薄い緑です。そう、スパニッシュ・ビューティーやグラハム・トーマスのような感じです。
3.出ているところがおかしくないか?
普通、ベーサルシュートは株元のクラウン(接いだ部分)から出てきます。しかしこれは後ろ側の地中から出ています。このピエール・ドゥ・ロンサールは接ぎ木苗ですから、地上に出ているクラウンより上が正しいピエール・ドゥ・ロンサールです。地中部分は間借りしている大家さんのノイバラです。
ベーサルシュートじゃなかった
と言う事で。確認するために掘ってみました。やっぱりこれはピエール・ドゥ・ロンサールのベーサルシュートではなく、接ぎ木の台木になっているノイバラの根から出ているシュート、つまりサッカーです。残念ながらピエール・ドゥ・ロンサールのベーサルシュートではありませんでした(涙)。
サッカー(台木からのシュート)
基本的なことですが、何故、接ぎ木するのでしょうか。そのまま挿し木ではいけないのでしょうか。手間もかからないですし、お手軽簡単に出来てコスト削減にもなると思います。接ぎ木するから台木からのシュートとかって言うややこしいことになるのではないでしょうか。
挿し木苗
バラの増やし方としてお手軽なのが挿し木です。バラの枝を切って挿して根付かせる方法です。皆さん一度くらいは挿し木をしたことがあるのではないでしょうか。挿し木した苗を育てたことがある方なら分かると思いますが、挿し木苗の成長は非常にゆっくりとしています。特に大きくならない品種などは、本当にゆっくりとした成長過程を辿ります。我が家でもジュビリー・セレブレーションなどは花を咲かせてしまっていることもありますが、全然大きくなりません。あのつるバラのピエール・ドゥ・ロンサールでさえも、なかなか大きくなりません。
接ぎ木苗
国内では多くのバラが、台木に接ぎ木をして育てられた「接ぎ木苗」として販売されています。それは日本の環境に合うノイバラの台木を使うことにより、成長が速くなり病気にも強くなるというメリットがあるからです。ノイバラとは日本に自生するバラのことですが、日本に自生しているのですから、日本の環境には100%合うと言う事になります。さらにその成長力も旺盛で、道端に生えているノイバラは切っても切っても根元から萌芽するので根絶するのは難しいと言われています。まさに接ぎ木の台木としては最適なのです。しかし接ぎ木は手間がかかり、台木を用意しなければならないという欠点があります。
環境に適応
挿し木苗はお手軽簡単ですが、販売者からすればバラが丈夫に育ってくれることが第一ですし、環境に適応出来なくて枯れるようでは悲しいですし商売にもなりません。そういう事で手間のかかる接ぎ木苗が流通しているのでしょう。まして日本は高温多湿という特異な環境ですから、日本の環境に合ったノイバラの台木に接ぎ木されています。私たち育てる側としても、早く大きくなってたくさん花を咲かせてくれた方が嬉しいですからね。
サッカーはすぐに取り除く
結論ですが、今回のシュートは台木であるノイバラの根から芽が出てきたと言うことです。これを一般的にはサッカーと呼びます。これをそのまま放置しますと、もともと強いバラですので、恐らくこの先ぐんぐん伸びていきます。そうすると接いだ品種の栄養まで奪い取ってしまうため、接いだほうのバラの成長が悪くなってしまいます。ですのでサッカーを見つけたらすぐに取り除く事が重要です。
ということでサッサとこのサッカーを抜き取りましたが、ピエール・ドゥ・ロンサールに期待していただけにちょっぴり残念でした。
コメント